被爆者の証言集より
第1集 1988年4月発行
第2集 1996年2月発行

第3集 2005年8月発行
第4集 2016年4月発行

【広島】
広島の惨状を忘れまい〔第4集〕
辻口 清吉 (広島、爆心から4km、当時21歳、軍人)

20年3月2日、船舶兵として愛媛県で入隊。6月19日広島市宇品町暁1640部隊に転属した。ここでは㋹と言う陸軍の海上特攻兵器で訓練した。㋹は120㌔の爆雷を2個装着し、夜間奇襲により敵の艦船に肉薄攻撃するという訓練をしていた。私は生きて帰れないことを思い、7月に広島市内の写真館で写真を撮って家に送ってもらった。
8月6日、船舶工作場前で被爆した。突然、ピカッ、ドーンとものすごい大音響とともに強烈な光の直射と熱風を感じ、頬が震えた。
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広島を振り返って〔第3集〕
長井 文雄 (広島、爆心から1.5km、当時10歳、生徒)

逃げる途中、川を2つ超えましたが、そこには全身に火傷を負って苦し紛れに入水した人たちが川を埋めるようにしていましたし、道路には傷を負った人、着物を焼かれて裸同然の人。「水をくれー」「水をください」と叫ぶ人たちでいっぱいでした。逃げる気力も体力もなくなった人は道路と言わず瓦礫の中と言わず倒れていました。私はその中をただ、夢の中の地獄をさ迷っているように歩き続けたように思います。
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広島で被爆して〔第3集〕
中村 治弘 (広島、入市被曝、当時22歳、軍人)

負傷者と言えば、見る限りの人は、これまで見たこともない背中一面の大火傷で担架に腹ばいで寝かさなければならない人。顔全面の火傷で眼もふさがっている人。両腕の大火傷のところを強烈な爆風に襲われて、皮膚がぺろりと剥がれ、指先の爪のところからだらりとぶら下っている人。もう地獄というしか表現のしようがありません。それらの人々が皆、苦痛に呻いているのです。
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被爆家族の戦後史-両親と弟のこと〔第4集〕
中村 政子 (広島、入市被曝、生後5か月)

弟は生まれた時から弱く歩くことも困難でした。背骨も曲がり体内の方へねじ曲がり、片肺が完全に潰れてしまっていました。内臓も十分な働きができず、お腹に穴をあけて管を通し、導尿。毎日の洗浄、2,3日おきの摘便が必要でした。21歳まで生きることができたのは母の愛と母が看護経験者だったからでしょう。被爆による異常児だと分かったのは母が被爆者手帳を手にした時です。そのことを知っていたら辛い苦しい治療を受けさせなかったものをと、母は泣きました。
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原爆に遭う〔第4集〕
新見 静男 (広島、爆心から4.2km、当時10歳、生徒)

高校を卒業して就職するのにも大変苦労しました。いくつ試験を受けてもことごとくダメなのです。最後の会社に「その顔はどうなさったのですか」と聞かれて事情を話したところ、ようやくそこが私を採用してくれました。それ以前の会社は、聞かれなかったばかりに、顔の火傷の跡が災いしたのかもしれないと思うことがあります。
このような状況を作り出した戦争は二度と起こしてはなりません。そして核兵器は絶対に必要ありません。
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私の被爆体験記〔第4集〕
服部 十郎 (広島、爆心から約1.8Km、当時16歳、軍人)

そこで見た周囲は地獄だった。建物は倒壊または半壊して、人々は全身を火傷と裂傷に覆われ、焼け爛れて土色に変わった皮膚をぼろ布のようにぶら下げながら、助けを求めてよろよろと歩いている。さながら幽霊のように。「水を、水をください」つぶれて出ない声を必死に振り絞りながら。路傍には遺体が数知れぬ程に放置され、注意しながら歩いても、踏みつけそうになる。死体だと思った人の手が伸びて、私の足首をつかむ。間もなく火災も発生して家屋を焼き尽くしてゆく。
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被爆後70年、まだ生きています〔第4集〕
松本 郁子 (広島、爆心から約2.2km、当時12歳、生徒)

父の再婚を機に私も早い結婚をした。二児の母親になれたが、全身の倦怠感と貧血によって、床に入ると奈落の底に落ちる感じがし、眠ったら死ぬのではないかと怖かった。夫はそんな私にイライラし、酒に溺れてDVがエスカレートした。このままでは子供にも可哀そう、何としてでも、と思っていたある日、被爆した母親が幼い子供を残して白血病で死す、との新聞記事を読んだ。その時はショック!大変ではあったが離婚した。子供には私が親から大切にされたようにしてやりたい一心だった。
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